Fの一日一創作 Day971
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「どうして私が生きているのか、とん、と検討がつかぬのだ」
No.231 アレン。
記憶が無く、なぜ今生きているかも分からない青年。自身に対する記憶は定かでは無いが、他者が関わる記憶は写真より鮮明に覚えている。妙に老いた、あるいは文語的な話し方をする。魔法を使えば過去を少しずつ思い出せるそうだが―その記憶さえあまり長くは持たない。魔力は強大だが、それを扱う方法もおぼつかない。ただ知識だけは有り余っており、「どこから得たかは分からない」と言いながらその知識と洞察力で様々な事件の真相をさっぱりと見抜く探偵紛いのことをする。
かつて魔導書を読み、大いなるリスクを代償に大いなる力を与える「イニシエイトマジック」を修得した。その修得の際に無くしたものは「記憶」であり、自分に対する記憶を覚えられなくなってしまったのだ。一方で、他者に関わる記憶を忘れないという強さも得ることが出来た。
彼に潜在しているのは、そのイニシエイトマジックによって封じられた、魔法の発動法さえ含む「記憶」そのものである。