Fの一日一創作 Day998
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「クランクアップにはまだ早い。それだけだ」
No.256 ハインズ・レイフォールド。
演劇部所属、全てを演じる事が上手い一方で理解をしない青年。演じ果てたゆえに、自己の中身は空っぽと相成った。
ゲームも嫌いではないが、一番好きなのは映画である。病に倒れていた時に触れて、様々な人物を見ることが出来て有益だったからだ。時間も潰せたためよく見ていた故に、その中の役を演じる俳優に憧れたのが演劇部に入ったきっかけである。「優しい人」に憧れたはいいものの、他人を優先するあまり自分の「嫌」を押しつぶしたので自分にとって何が嫌かもわからなくなった。ただ一つ嫌なのは、そうして潰してきた自分の感情が、他人への情が「無駄である」と否定されることだけだ。
そして今はと言えば、自我を消して演じるのに限界が来たのか無気力そうに生きているだけである。何かの役を与えられたとき、彼はまた再び輝くだろう。