天使症候群#17
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天使の繁殖
天使には性別の概念がないため、人間のような繁殖のための性行為伴わない。
花の翼をもつマザーガーデナーが一度はばたけば、天界の三分の一ほどの広範囲に種子が降り、そこから芽吹いた草木が花開くときに、新たな天使が生まれるという。
生まれてくる天使の中からまれに、次世代のマザーガーデナー候補が生れ落ちる。それに伴い、現在のマザーガーデナーは急速に能力を失っていき、やがて枯れ木となる。
天界で最も働き、戦力増強や領地拡大に最も大きな貢献を果たしているであろう彼女が、堕天によってその終焉を迎えることが決まっているというのは、あまりにも過酷な運命であろう。
数世代前のマザーガーデナーはその事実に気づいた時、失った力を取り戻すため、生れ落ちた跡継ぎを手にかけてしまった。
その行為は当然ながら神の逆鱗に触れ、彼女は強制的に能力を剝ぎ取られ、天界を追放された。
彼女から取り上げられたマザーガーデナーの能力は、新たに生まれた別の天使に引き継がれ、現在に至っている。
この一件以降、生まれた跡継ぎは即座に神の庇護下に置かれることとなった。
なお、跡継ぎを手にかけたものの、失った分の力が戻ることはなく、現在のマザーガーデナーの能力は、かつての半分以下にまで落ちたと言われている。