恋華夢想神奇譚
第二章:信仰の成れの果てに(前編)
【初出:2020/10/21】
(前回までのあらすじ)
神を顕現させようとして時雅は失敗続きの最中、やっと神の顕現に成功する。しかし、その神と思われる少女には記憶が無いという不具合があった。
とりあえず、少女は桜華と名乗ることにして…その後に彼女は、国産みの創生神である伊弉諾尊と伊弉冉尊と出会い話をするも神だと云う実感は湧かぬままだった。
更に後日に任侠の事変にて重症の乃威を連れて杏璃が土御門邸にて訪れた際に何とかしたいと言う思いから桜華は乃威の傷をを術で癒やすことに成功して、その足で皆は京の驚異となりつつあった金慈の任侠屋敷へと赴き見事に協力して事態を収拾させる。
そして、更に後日に陰陽頭の嘉月は、三坊猪熊町に事の発端となった荒神を信仰対象として祭り…その防人に任侠若頭の金慈を任命する。それは、彼への時雅の配慮と悪神でも力の強い神は利用してしまえという伊弉諾尊と伊弉冉尊の提案でもあった。
(↓以下、今回のあらすじ↓)
時雅と乃威、伊弉諾は、結界の修復の為にとある霊山を訪れていた。
そこで、彼等は大山積という神と出会って霊山の異変を協力して解決しようという話になる。
その後に雑談がてらに辿り着いた金峯山寺という寺で役小角率いる瑞烏修験天山道と出会い、同じ目的で動いていると知った両陣営は協力体制を敷くことにする。
だが、一方で大山積の力は徐々に奪われているようで…その最中に周囲を調査している時に、時雅と桜華達は隠されたようにひっそりとした社を見つけるのだった。
そこには、神様では無く仏が祀られていたようだが何か様子が変だった。
「参拝客とは…珍しい」
そう言ってそこに姿を表したのは何と、あの三貴神の一柱であった。
その柱の言うには役行者達は何かキナ臭いと言う。そして、事態は次第に思わぬ方向へと動いていく――
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