公開投稿

2026.01.04 02:45

ウベルティ夫妻の再会

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いい夫婦の日でウベルティ夫妻のイラストを描いたところ、Twitterのフォロワーさんから小説が見たいと言われたのでモライル(アダレータ)の設定起こしも兼ねて書いてみることにしました。




それは予期せぬ再会だった。一方は魔獣化の呪いにかかり、もう一方は悪魔となった。お互いに風貌は変わったが、目が合った瞬間、共に生前の伴侶だと確信したのだ。

「ああ、マネンテ……髪こそ白く短くなれど、貴方のその顔、見間違うはずがありません。」

「俺もだ、アダレータ。貴様もここに来ていたのだな。」

「今は『モライル』という名の悪魔です。しかし、貴方が望むなら以前の名前で呼んでいただいてもかまいません。」

その言葉に「そうか」と答えるファリナータ。そんな彼の腕を見てモライルは眉を顰める。

「酷い火傷……医者に診てもらった方が良いのでは?」

「気にするな、このくらいの痕ならすぐに退く。しかし、それよりも安心した。貴様は、呪われていないのだな。」

そう言ってファリナータは心底安堵した。生前の妻であったモライルが何の呪いにもかかっていない事に余程安心したのか、ファリナータの目から涙が零れ落ちた。モライルは彼の涙をそっと拭うが、どこか浮かない顔をしていた。

「マネンテ、私は悲しいです。共に魔界に落ちたというのに、貴方だけが呪いにかかり、今もこうして身を焼かれ続けているのですから……。」

「何を言う。貴様こそ俺のせいで死後の安寧を壊されたというのに……。それに、俺は生前の報いを受けているだけに過ぎん。」

「だからといって貴方がそこまでされる謂れはないはずです。現に貴方はフィレンツェを破滅から救ったのでしょう?貴方を恨む者は確かにいますが、それと同時に感謝をする者もいるはずです。」

モライルの言葉にハッとするファリナータ。瞬間、彼の脳裏にかの詩人2人組が訪れた時の記憶が過ぎる。そのうち赤い服を着た者は自分と同じ国の者で、敵政党でありながらも確かに自分とその子孫を気にかけてくれていた。

「ああ、そうだな。」

それ以上は何も言わなかった。暫く沈黙が続いた後、2人は別れを告げ去っていった。しかし永遠の別れというわけではなく、どこかでまた会えるとお互い信じての事だった。いつか魔獣化の呪いが解け、再び二人で穏やかに過ごせる日が来ることを祈って。