ことばの雫はまだ名前を知らない
こと雫
- とうめいな街に棲む、心のかけらたちの物語
ねえ、
君にも、名前のない気持ちってある?
うれしいのに苦しくて、
悲しいのにあたたかくて、
言葉にしようとすると、すうっと消えてしまうような感情たち。
「こと雫」はね、
そんな気持ちがぽとんと落ちたときに生まれる、
心の奥の“しずく”を、そっとすくいあげたものなんだ。
わたしは、とうめいな街に暮らしている。
言葉にならなかった想いを、
詩や絵のかけらに変えて、瓶につめているよ。
これは、あの頃の私から、
今、ここにいる君への手紙。
誰にも気づかれなかった感情たちに、
小さな名前をつけて、そっと渡すために。
「こと雫」は、
名前のない感情に、
君といっしょに名前をつけていく物語。
どうか、
君の胸の奥に、ひとしずくでも届きますように。