祖母が事故に遭い病院に運ばれた日の夜、麻綾は約束通り恋人の波瑠菜と居酒屋に行った。さして交流もなかった祖母への心配は、心の隅の澱ていどのものだった。
フリーター兼イラストレーターの波瑠菜と、会社員の麻綾。真逆の生き方の二人は、数年の交際を経ても尚、まるで学生のままのような関係性だった。しかしある日、それは大きく揺らぐことになる。
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