遊ぼ
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最近いつも、夢をみる。
夢の中では、不思議な黒猫を引き連れた
子供がぬいぐるみの手を引いて、普段通勤に
使う駅の地下通路を
歩き、決まって私はその数メートル後ろをついていく。
『ねぇ、君はここで何をしてるの?』
『……。』
問いかけに答えてくれた試しは無いが。
しかも、ある日を境に振り向いてもくれなくなった。しかも、なんだかしんどそうだ。
自然とこちらの口数も減っていく。
沈黙が辛い……
しばらく下を向いて歩き続ける。
ふと看板の前で女の子が立ち止まる
『ねぇ!いっしょにあそぼ!』
無邪気な声ではなす女の子の声が聞こえた。
急にこんなに明るくなるなんて。
…いや、きっと人見知りするタイプだったんだな。数日間返事が無くても話し続けた甲斐があったと言うものだ。
夢だとはいえ、小さい子の頼みだ、遊びに興じるのも悪く無いだろう。
何して遊ぶ?
そんなことを言いながら、顔を上げた
女の子は、壁を見た見たまま固まった様子で
微動だにしない。
心なしか足元がフラフラと揺れて、クマを掴む手は力を入れすぎて真っ白になっている。
壁を裂くように現れた大きな赤い目は、血走った目でこちらを見つめてている。
ニヂャ、と言う音をたて瞬きをしながら、その眼をぐるりとまわし、話している。
『あそぼ』