愛し方が分からない

在りし日をもう一度

突然小南が来たかと思えば、飛段の話し相手になり、帰るかと思えば突然呼ばれて怒り、サツキを連れ出してしまった。あまりにも突然で、周囲の奴に聞いてみても知るわけがなかった。仕方なく帰りを待つしかない。

夕刻時頃に2人は帰ってきた。小南の話では直属部下とはいえ、保護者でもある身ならばサツキの面倒をちゃんと見ろとの事だった。その上痛み切ってしまった髪の手入れをしろとまで。男が餓鬼とはいえ、女の髪を触って良いものか。正気かこいつは。

だがやってみると、サツキは意外にも嬉しそうだった。確かに髪は傷んで艶もない。仕事ばかりさせていたせいなのか。余程嬉しかったのだろう、俺のもやらせろと言う。修行で鬼鮫達に見せた、子供らしい笑顔とはまた別の、朗らかで穏やかな笑顔を見せてくれた。この顔が見れるのなら、悪くない。

小南の言うことも引っかかる。このままサツキの面倒を見て、隣に立つ姿を想像してみる。あぁ、これも悪くない。

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