ヒティ
太古の昔に惑星ルーインで人間に崇められていた、「享楽」を司る冥神。
楽しいことが好き。つまらないことが嫌い。というとてもわかりやすい性格。
創られた当初は冥界にいたが、そこで同じような日々を過ごすことに嫌気が差し、刺激を求めて宇宙へ飛び立つ。
そこでたまたま発見した、エネルギーの満ちる惑星・ルーインに降り立ち、そこで暮らしていた生命体(人間)と仲良くなっていく。
皆で楽しく歌い踊ることでヒティ自身もエネルギーを得られ、本人も気づかぬうちにそのエネルギーは強大になっていった。
この力にいち早く気づいたニクラスは、このままにしておくと天界、そして世界全体の脅威になると判断。
半ば独断でヒティに接近し、策を持ってヒティの封印に成功した。
ここから長い間、彼女は眠りの時を過ごすこととなる。
その後、封印の間際に放ったエネルギーが様々な形となって彼女の意思を伝えることにより、最終的にアマットの手によって封印を解かれることとなった。
当人はただ気楽に過ごしていたいだけなのだが、真相を知ったアマットの「もう一度ルーインの神となるべき」という熱意に付き合う形で彼女と行動を共にしている。
封印を解いただけでなく、(意思を尊重しているわけではないが)自分のために行動してくれるアマットには、あまり言葉には出さないが心底感謝をしているようである。
実体は粘液のような不定形の存在であり、ある程度自在に姿を変えることが可能。
その昔はいろんな姿で人間の前に現れたが、現在の姿が一番ウケがよかったため、自身も好んでこの女性型の形状を取ることにした。
・戦闘スタイル
享楽のエネルギーを波動に変えて撃ち出す。
人間へのある種のリスペクトなのか、人間の創造物を模した技が多い。
・技
太いレーザーを発射する「ヒティレーザー」、敵の攻撃をもかき消す衝撃波を放つが発動後にへたり込む「ヒティボム」、対異星人用決戦兵器「ヒティンベーダー」など。
・必殺技
新鮮な魚を捌いて敵に振る舞う「板前ヒティ」。
フロード
「欺瞞(ぎまん)」を司る冥神。
老人のような話し方をしており、リューディアに創られた冥神の中でも特に最初期の存在だと思われる。
常に謙虚な姿勢を崩さない、好々爺のような性格を取っている。
「自分の実力など取るに足らない」と話してはいるものの、その術の力は冥神の中でもかなりの強さ。
しかしながらどうにも本心の読めないのらりくらりとした態度を取っているため、信頼してくれるパートナーは長い間見つかっていなかった。
冥界にやってきたジュディスと出会い、フロードの術が魂の救済のためには不可欠と考えたジュディスは力を貸してほしいと懇願。晴れて契約を結ぶことができた。
フロードの人の心を疑心暗鬼にする力は、霊能力を操る彼女の視覚的・精神的に惑わせる力をより一層強力にすることとなる。
もとは原生生物のような抽象の姿だったが、ジュディスと共にいるうちに彼女の影響を受け、歪(いびつ)なサイコロのような具体の姿に変化してきた。
・戦闘スタイル
どんどん細かく分裂して増えていく弾。
敵の周囲を剣が取り囲み、そのうちのいくつかを実体化して飛ばす。
など、見る者を惑わせる幻術を得意とする。
相手を幻惑状態にさせ、自身の分身を次々に飛ばす攻撃は強烈。
アヴァ&リィス
「欲心(よくしん)」を司る冥神。
もともとは2体ではなく、2頭を持った1体の冥神「アヴァリス」として存在していた。
純粋な子供のような性格をしており、とにかく何でも欲しがる。冥神なのだが威厳というものがカケラも見えない。
大飯食らいで、物欲の求めるまま本能的に日々を過ごしている。
当然ながら人間たちから尊敬を受ける機会もまるでなく、アヴァリス自体もそこに興味を持つことはさしてなかったようだ。
冥界にやってきたイレーナ・テレーザと出会い、イレーナはまるで興味を持っていなかったが、テレーザが「カワイイ」として連れて行こうと提案。
全く気が乗らないイレーナであったが、アヴァリスの「人の持っている物欲を高めることができる」という力を知った途端に態度が一変。美辞麗句を並べて契約を急ぐ姉の姿にはテレーザもさすがに呆れたのであった。
おかげで「彼女たちのグッズが欲しい」と思うファンをさらに増やし、ビジネスもより好調になったようである。
もとは原生生物のような抽象の姿だったが、イレーナ・テレーザと共にいるうちに影響を受け、ベル(鐘)のような具体の姿に変化してきた。
いつの間にか2頭それぞれも分裂、別個体として双子それぞれにくっついて回るようになったようである。
・戦闘スタイル
たくさんの弾を空中に飛ばして落下させるなど、がむしゃらに手数で押す戦法を取る。
接近してきた敵には強烈な頭突きをお見舞いすることも。
小型の分身を何体か発生させ、大気のエネルギーを食べさせることで自身を回復させることもできる。
ドーゲンス
「耽溺(たんでき)」を司る冥神。
もともとは思慮深く、慎重に言葉を発することもあってどこか厳かさを感じさせていた。
様々な知識を得ることに大きな興味を持っており、冥神の中でも特に多くの情報に通じている知恵袋的存在。
しかしその中でアルコール飲料のことを知り、試しに作って飲んでみた結果、その味の虜になってしまう。
冥界にある材料で作ることができる「アビス・ビア」なるビールを飲んでいないと落ち着かなくなり、飲酒の道に深く没頭することとなっていった。
そのため現在は一見するとただの酔っ払いのようなラフな性格となったが、そのおかげで周りの冥神たちからするとやや付き合いやすくなったらしい。
冥界にやってきたハンナと出会い、アビス・ビアの効き目が切れてきてしまったことをボヤくと、彼女はレシピを聞いて作り方を把握。
そしてハンナの恰好を見て「はるか昔に似たようなヤツを見たことがある」と話し、魔女についての情報もいくらか持っていることが判明する。
そこでハンナは交渉を開始。ドーゲンスのためにビアを提供してあげる代わりに情報を教えてもらう、という形での契約が成立することとなった。
ドーゲンス自身の「契約者の考え方をより明晰にする」という力もあり、ハンナの研究はますます完成に近づいていくこととなる。
もとは原生生物のような抽象の姿だったが、ハンナと共にいるうちに影響を受け、異星人の作ったカカシのような具体の姿に変化してきた。
・戦闘スタイル
本人も撃ち出す弾もフラフラと不規則に動く(当人は無自覚)が、逆にそれが敵にとって回避しづらい強力な攻撃となっている。
また、少しの間だけ敵を戦いに深く没頭させ、視野を狭くすることができる。
ライオット
「擾乱(じょうらん)」を司る冥神。
とにかく陽気で騒ぎたがり。
関西弁で誰でも気さくに話しかけ、一人で騒がしくしているため、周りの者はなかなか落ち着けない。
また「お笑い」にも強い興味を示しており、一人で「ボケ」「ツッコミ」を両立した真のお笑いを確立すべく懸命に努力する熱心さも見受けられる。
しかしながら嫌われることは少ないものの、彼のノリについていける者がなかなかおらず、そのせいでパートナー探しも難航していたようだ。
冥界にやってきたヴァルと出会い、彼女の木刀を見て驚く。
それは以前自身がその生きざまに惚れ込んで「契約してほしい」と頼んだが断られてしまった、ある男のものと同じであった。
その際にせめてもの力添えにと、ライオットはその木刀に自身の擾乱の力を注いでいる。ヴァルが木刀を持つと一層勇ましく戦えるのはその力のおかげでもあった。
ヴァルがその男の実子であることを知り、またヴァルの側も「天下無敵」になるべく更なる力を求めていたことにより、ここに古今無双のタッグが形成されることとなった。
もとは原生生物のような抽象の姿だったが、ヴァルと共にいるうちに影響を受け、武者の兜のような具体の姿に変化してきた。
・戦闘スタイル
突進攻撃やスピードの速い弾など、直線的に勢いのある攻撃が得意。
周囲に金タライを落とすというお約束(?)の攻撃も。
また、少しの間だけ敵の気分を極度に高揚させることで動きを止められなくする(移動したら停止できない)こともできる。
ソリティ
「威権(いけん)」を司る冥神。
「指導者・リーダー」と呼ばれる存在に惹かれており、リューディアに創り出されてから間もなく周囲の冥界に住むものたちによる小規模なグループを結成。
しかしそこから何をするべきなのか目的が見当たらない中、ふらりと人間の世界を覗き見てみた中で、「軍隊」と呼ばれる組織に衝撃を受ける。
「自身も冥界一、そしてこの宇宙一の軍隊を組織してみたい」という気持ちが芽生え、自身のグループにおいて戦闘訓練を開始した。
「訓練をしている」という名目ではあるものの、ソリティ自身に指導の経験が全くないためとりあえず見よう見まねで叫んでいるだけであり、また隊員たちもやる気があるわけでもないため、傍から見るとただただ牧歌的に遊んでいるように見える。
指導者として偉ぶった態度をとってはいるものの面倒見はよいようで、隊員たちも付き合ってあげているという形のようだ。
ソリティは「無敗の軍団」と豪語しているが、今まで交戦自体をしたことがないため。そして厳密に言うとマーシェに蹴散らされているため一敗はしている(ソリティとしては「これは指導の一環」としてカウントしているらしい)。
ついでに「冥界一の軍団」も称しているが、これは冥界に他の軍団という組織が存在しないためである。
冥界にやってきたマーシェと出会い、ポリスシスター長官として強いリーダーシップを発揮する彼女に感銘を受ける。
マーシェの側も「組織の幅が広くなるのはよいこと」と考えて契約することとなったが、どちらかと言えばソリティの隊を鍛える顧問指導員のような立ち位置に近いようだ。
しかしながらソリティの「命令を下した際、より威圧感を与える」力は本物であり、「犯人が威圧によりすぐに降伏する」など、マーシェのポリスとしての業務遂行には明確に役立っているようである。
もとは原生生物のような抽象の姿だったが、マーシェと共にいるうちに影響を受け、戦車を模したような具体の姿に変化してきた。
・戦闘スタイル
ソリティの声により規則的に動き方を変える弾など、戦場で命令を出しながら戦う指揮官のようなスタイルを取る。
また敵に対して命令を下して行動の制限を強いる(反対に動け・遅く動け・攻撃するな)という力も持つが、うっかりして敵の体力を回復させることも。
リューディア
闇と静寂を好む大冥神。
大天神・セラフィーナとは姉妹であり、リューディアは妹にあたる。
セラフィーナの創り上げていた「天界」にしばらく留まっていたが、いつも賑やかで光溢れる世界での暮らしはリューディアにとってだんだん居心地が悪くなっていく。
もっと落ち着いた静かな場所で暮らしたいと願った彼女は、とある酒宴の席が終わった頃にこっそりと天界を抜け出すことにした。
姉と同様に新たな存在を創り出す力を持っているリューディアは、宇宙に新たな世界である「冥界」を創り出す。
そして気持ちを吐露できる存在がいなかった彼女は、自身の持っている燻ぶった想いの数々を「冥神」として具現化することで心の昇華を図ることにした。
結果として様々な冥神が創り出され、リューディアの心は落ち着いたものの、今度は冥神たちの活動が活発になったために冥界が少々騒がしい空間になってしまった。
「この場所のことは此奴らの好きに任せよう」と決め、彼女は再び宇宙を彷徨って安住の地を探す。
そして生命体の存在していない手頃な大きさの惑星を見つけ、その地中深くでゆっくりと深い眠りに就くのであった。
この惑星は後に多くの生命体が闊歩し、「惑星ルーイン」と呼ばれることになる、などとは夢にも思わずに……。
常に眠そうな姿勢を崩さない、ダウナーな性格。「何かをするくらいならとにかく寝たい」という、ある意味非常に明確な指向の考え方を持つ。
もともとそのような性格なのだが、冥神たちの創作活動は想像以上に疲れたようで、現在はその疲労を回復する期間としている。(もっとも神たちの時間間隔は人間のものとは相当にかけ離れているので、いつまでが休憩期間なのかは皆目見当がつかない)
そのため、普段以上に気だるさに磨きが掛かっている。
その実力は戦闘面でも折り紙つき……とは思われるが、上述の通りとにかく面倒ごとを嫌うため、彼女が誰かと戦う姿を見た者はいない。
少なくとも常人が気づかないものを察知する能力は高いようで、ヒティに対し「アマットはお前にとって単なる従者ではなく、非常に大切な存在だ」とほのめかしている。