2010年時点
一番、「作画」があった状態の物語です。
その原画はキャンバスロールに直接描かれた、平均1〜3m四方の油絵です。2、3枚目の写真のように、床にロールキャンバスを転がして描いてました。
それを壁一面に貼って展示を2011年に、しました。
ほんとは、この作画で本の作品にできたらと思ってたのですが…、まあできなくはないんですが、形式的には絵本のようになってしまいますし、だとしても私が描きたいスケール感には(量的に)届かなかったので、アートとイラストの根本的食い違いを認識するに至りました。アートとしてはもう、この時描いたものたちでほぼ語りきれてしまってるのです。でも、これを本にすると、あれ?となる。時間軸がうまく進行できないのです。
ということでこれもいったん断念。一応、画集のようなものは作りましたが、そこにこのお話を全て語らせることは、できませんでした。この話はすべて語られなければなりませんから、絵としては満足いってても、お話として、物語としては、まったく語り切ることができませんでした。
この頃から常に私は、「原画展と本作品がイコールとなる作品作り」かつ「同時に展示でき、互いを補完する構成」を目指していました。目指して…います、今でも。ただ、それをいったん捨てざるを得ない、本という形を実現させるには、本という文法そのものを知らなくてはならない、と痛感しました。いったんの挫折とも言えるかもしれません。それから、制作ノートの「シリーズ成立の経緯」にあるように、留学を考え、見つけ、そこで基礎の基礎を習得してから、さらにもがく…という工程を経ています。
この物語も、最終的にどういう形を取るか、私自身もまだ見えてはいないのですが、この時のエネルギー量より下がるようなことは絶対にしたくないですし、何より私自身の士気が下がりますので、本という形に再度、種々様々の方法での作画をもって作り直す上で当時をちゃんと超えられるよう、そして今度こそ、本と原画が一体となって、大きな夢を私たちに見せてくれるように…。と、私は今も、そこを目指し続けています。
めまいがするような、大きな目標だと、自分でも思っています。でも、今までしてきた苦労の全てが、この場所へ向かってやっと集約し始めたのも実感しています。
表現力とは、何か。
巨大な、問いです。
ちなみにこの時の原画も、この後作っていく画面作りの中に、できそうなら組み込んでいくつもりです。予想外の形になるんだろうなぁ…。。。