簪を懐に入れてからずっと落ち着かない。飛段にちょっかいをかけられても無視一択。アジトに帰りサツキが出迎えてくれてもいつものように接することすら出来ない。遂には不安にさせて泣かせてしまった。静かに流す涙に焦りが何故か生まれる。こんなはずではなかったのに。
朝を迎えサツキから問われて腹を括って簪を差してやる。今に生まれ今を生きるサツキにこの意味は知らないだろうと思っていたが知っているようだった。サツキからの確認の問いは快諾そのものだろう。これらも目一杯愛してやろう。
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愛し方が分からない