愛し方が分からない
残らない記憶(3)
ひとまずは寝かしつけに成功したが、抜け出そうにも腕をしっかり掴まれて離す事ができない。仕方なく共に寝ることにした。
目を覚ますと子供のサツキの姿はなく、今の姿のサツキがいた。幼くなっていた時の記憶はないようで、キョトンとするばかりだ。この様子だと特に問題はなさそうだ。
書類整理中に発見した自分が書いた落書きも覚えていないようだ。面達を書いたというそれは、なんだか捨てれなくて置いておいた物だ。
不意に指を絡ませてみたが、耐性がないのだろう、固まってしまった。しばらく愛撫してやると、控えめに寄りかかってきてくれた。サツキなりに応えたのだろう。この初心さが見られるのも今だけなのだろう。
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