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白川 譽
夏雨去って天蓋捲ったレンジ蒸し
花花の都や春の伊吹山
星月夜女優ライトが妻を向く
デコポンの日焼けた肌をあん摩する
粗塩の大波スイカ乗りこなす
漆喰がさもくずるるや八月の青
凩がこすい私の頬を張る
祖父の手の金柑は未だほろにがく
ビーカーに生姜湯をポ。注ぎみる
落ちてくるいの一番にいがぐりが
木曽の路おい待ってくれてふてふや
日をその背夏青々し飯野山
黒アリを避け横道に逸れる百合
きりぎりす今楽しい歌それは宵
どん天下なお鮮烈な銀杏のい
初鏡羽より軽し純白ロリィタ
夏の富士アサギマダラの別荘地
渡り鳥一矢となりて股かける
血走った目をぬらめかせ割れ石榴
大都会聞かすせつなの千鳥声
待ちぼうけ青鶯とせつな声
絵双六余人の手ばかり気を揉んで
湯豆腐に息を吹き込み眼鏡もく
進路室傲慢な案山子退路立つ
すーぴかと昼寝す部屋に猫2匹
蝉でさえ他出控える猛暑の日
暖簾かなつららをみあげ屋根もぐる
祇園橋歳の数だけ苔茂る
生き急ぐ虫を探せば風鈴か
黄の花や一斉に仰ぐ春の青
オレンジに顔を顰めるお猫様
街に立つ菫のいぶき芳しく
秋の夜頬張り付かぬ隙間風
だいだいの絨毯踏みしめ遊ぶ子ら
めぐるぐる青を旋回赤蜻蛉
紅葉の木東京タワーと張り合って
目が合った秋のつつじはモリゾー似
大漁か青埋め尽くす鰯雲
添え木より外れた千鳥今発つや
かまくらか白くくぐもる幼な声
星をみていぶきを弾く銀杏の木
液状の甘さ沁み沁み秋茄子や
補色かなまだ淡い秋と深緑
朝顔やいのちのいの字背で諭す
蓑虫かお布団に身を巻かれた子
さわ花野セーラーこしょこしょ多幸色
茂る山澄む湖畔すら藻に染める
桔梗咲き寄る辺埋まった故郷の土