4話 宿屋ハイルング
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以下の要素を含む一次創作ハイファンタジー作品。
・オリジナル世界観(オリジナル造語多数)
・人外種族(獣人、魚人、竜人、他オリジナル種族)有り
ヒューマと呼ばれる人型の種族、アゼロは目が覚めたら自分の名前以外の記憶を失っていた。
様々な種族が住むこの世界でアゼロはヒトと触れ合い、自分の記憶と欠けたココロを探していく。
☆4話のあらすじ☆
とある一室で目が覚めたヒューマ族と呼ばれる人型種族の子供、アゼロは自分の名前以外の記憶を失っていた。
自分の記憶の手がかりが見つかるまで、アゼロは街の宿屋で手伝いをしながら暮らすことになった。
アンデッドの姉妹・小さな姉のムクロと大きな妹フラン、宿屋の若き主人である魚人種族風の男性・フロッセと料理人のコッホ。彼らと食事を共にし、話を聞き、宿屋の手伝いをして過ごしていく。
アゼロはムクロ、フランと共に買い出しに出かけるが彼女たちは一度街外れの墓地に行くと言い出した。
アンデッドである彼女たちは活動維持の為の魔力を補給するために定期的に墓地に行かねばならないようだ。
墓地に着いたアゼロたちは、前の怪物騒動で怪物になった少女・カーリンとその妹のカーラ、鍛冶師青年のサーブルに出会ったのだった。カーリンは自身が怪物になった原因を「自責の念に駆られた」と語り、サーブルは自身の両親について話してくれた。彼は異なる種族の間に生まれた「混合種」と呼ばれる種族のようだ。
サーブル達がトレーネ湖畔でコッホを見かけたという話題になったその時、ムクロのクリスタルトーチからヒトツメ女医・ヒトミンの声が響いた。なんと宿屋の主人・フロッセがコッホの能力で大火傷を負ってしまったようだ。
湖畔で佇んでいたコッホ。彼を見たアゼロの表情が険しくなったと同時にコッホが怪物となってしまった。
コッホを止める為に戦闘態勢に入るアゼロ達。怪物となったコッホの能力は樹までも溶かすほどの威力となった。
後から駆けつけるサーブル達だが、彼らはムクロ達ほど戦い慣れていない為、見守ることしか出来ない。
怪物になったコッホを見たカーリンがアゼロと同じ感覚を味わった。
その後すぐにコッホを心配したフロッセと彼の付き添いで薬師・ヤクゼンが駆けつけた。フロッセの声を聞いたコッホ。
怪物になったコッホの手がフロッセに伸びる前に一撃を与えるアゼロ。すかさず、フランがコッホを抑えこむ。
近づくアゼロの言葉を聞いたフロッセはヤクゼンの制止も聞かずコッホに歩み寄り、そして語りかけた。
自分たちの幼少期と、コッホに大火傷を負わされた過去、そして、自分は火に弱い魚人種族ウオビト族と火に強い皮膚を持つ竜人種族リュウジン族の混合種であることを。
「もう自分を責めないで」そう微笑みかけるフロッセの言葉を聞き、コッホは元の姿に戻った。
仲睦まじいフロッセとコッホをからかうムクロを見守るフランとアゼロ。
皆に街に戻るよう促すヤクゼンだったが、道中の彼は険しい表情をしていた。
前の怪物騒動で壊された家の修復を街の領主を通して依頼をしたのだが、何故か元通りになっていたのだった。
そして、誰もいない夜の湖畔にて姿を現したフードをかぶった人物。その正体はユイだった…。